2011年8月21日日曜日

南高橋のいちじく


 南高橋になっているいちじく。
「無花果」 「映日果」 と 書く不思議な字です。

 キリストが暑い砂漠を弟子をつれ旅の途中、ふと見つけたこの木。葉だけは青々しているのに実一つありません。イエスは嘆き、以後、この木には 花は咲かなくても構わない!
 イエスに呪われたいちじく。漢字にはそんな意味が入っているのでしょうか?

   いちじく の花はしらずも 夏の果て       ノブ                                   

2011年8月12日金曜日

横浜「SEA BASS」第2回

 船が沖に出始めると、ここが横浜港なのだと良くわかります。右の方角に、ビルとビルに挟まって高くそびえる尖塔。

「ほあら、あれ、四月に行きましたよね。」

 そうだ。エレベターの料金を取られました展望台です。「みなとみらい」ドガ展の帰りでしたっけ。そのあとまたプーシキン展に行く約束もしましたよ。もう八月です。すっかり忘却していました。

 何故って、五月の大地震、東北地方の大津波。それに娘に呼ばれ、ひとまずアメリカ カリフォルニアに身体一つで一時避難。大自然の事件、人間関係の事件。忘れたいこと、心の痛みも回復したいと願った。そんな事があった時期でしたね。いろんな事を忘れるというのは、わたしが老人ボケだというだけではありませんよ。そんな想いは八十五才のボケも与えられた恵みともいえるかも。
ぼんやり水平線の房総半島を視界から外すと、船はもう船着き場です。

 ビルのテラスから曲線に階段を降した水際に、船客をもう長い列を作って乗船を待ていますよ。降りる人は乗船券は降りる時に、お渡しください。と声を枯らしているのですが、イメルダさん、券が見つからずなかなか出口迄やってきません。

「そんなの、失くしたと言えば、大丈夫!」  

 もう乗船を待ち構えてるところの終わりの一人の船客です。

 船を下りて、地下のビルの階段を上がり、一階の広いロビーは「そごうデパート」の入り口。そこの空間を利用して、出店が出ています。半袖シャツ、四種類だけ。それも五百円。東北津波難民の募金になるそうです。なかなかの私好みのがあったのですが、品切れ。買うのを諦めていたら、Kさんが、

「これ、マスターに買いましたよ。」

 と一枚手に入れることができました。胸に大きく      

 B E L E I V E
 J A P A N E S E     
P O W E R

 と書きこまれていました。今もこのブログを書き込みながら、愛着。Kさん有難うございます。
 そんなところに、イメルダさんが、急ぎでやってきました。

 イメルダさん「マスター、有りました、有りましたよ!マーロウはこのそごうの中の何処かですよ!」
                  
 私「え?店があった!」

 イメルダさん「そうよ。私、其の紙袋を下げている人を見たの。」

 「マーロウ」は、葉山御用邸の山裾にある 宮廷御用達の洋菓子店。そこのプリンがお目当てなのです。私はそのお店にIさんTさんと行った時、横浜にも出店があると聞き覚えが有りました。それで四人は大騒ぎ。

 マーロウは レイモンド チャンドラーの推理小説に出てくる私立探偵です。若い頃からのフアン。此の言葉が耳に残ります。

 『男は 強くな、ければ 生きていけない。  男は 優しくなければ 生きる意味がない』

 先ずはこのデパ地下から四人分かれて捜すこと。これもここに来た遊び心。誰かの声

「ここ!ここよ!」

 そこはショウ ケースが並べられてるだけの店でした。でも並ばなければ買えません。高級感に納められたグラスのプリンです。それぞれ何を 何個お買いになったかは 知らぬ顔の半兵衛。紙袋を下げ、地下鉄「みなとみらい」に乗るだけです。 

 横浜にお住まいのKさんは地下迄お見送り下さいました。階段の上から、私達が見えなくなるまで手を振り別れを惜しんでくれました。K女史、お騒がせ!勝手に呼び出し申し訳有りません。

無事に家に着き今日の報告がてら、家内に聞きました。そう、「SEE BASS」のことです。彼女は植物、魚類については 博識が深いのです。直ぐに解答が出ました。そ=SEE BASSは セイゴ フッコ の事をいいます。Black Bassと云う淡水魚がいますよね。
はい、分かりましたとマーロウのプリンを渡して退散しました。

 みなさん、一日どうもありがとう。またどこかに連れ出してください。