2010年10月21日木曜日

夾竹桃


 今日はママのお話です。隅田川沿いに両国まで歩いてきたママ。その道沿いに白い夾竹桃を見つけましたよ。この時期に・・・ママが思い出したのはあの川柳。

「まだ咲いている 夾竹桃の馬鹿が」

 時実新子さんの川柳です(笑)夾竹桃は長く咲き過ぎるのでした。
 でも、ママのコメントは
「赤い夾竹桃にはそう言えても、白い夾竹桃にはかわいそうで言えないわね。」
とのことでしたよ。

2010年10月19日火曜日

ウィーン旅行より 第8回 映画 未完成交響楽

 ガス灯の灯りが、車寄せに、二頭の白馬を見事に際出させ、ロビーのクロークの係も緊張と期待で馬車の中の人物に瞬きも出来ず見守ります。守衛の白の手袋に手を預け、降り立ったつま先も見せない白のロングドレス。裾を引き摺り、コートを預け、無言のまま扉に歩み寄ります。エステルハージ伯爵令嬢です。

 このコンサート主催は侯爵夫人です。爵位でいえば階級は下です。当時はオーストリア、ハンガリー帝国の時代。侯爵の下でも、名門ハプスブルグ一家につながる家柄。神聖ローマ帝国は、全てこの名門から出ているのです。父親ハハンガリー王国の儀仗兵を統一する軍人。広大な敷地に建てられた、城塞の様な屋敷。でも芸術の街ウイーンに比べれば、ブタペストはドナウ河を背にしたオーストリアの避暑地の様な場所。まさか、彼女はドナウ川沿いに馬車でウイーンに駆け付けたとは思えませんね。でも、何が何でもここへ来ることは女としての生きがいなのです。彼女を慕う多くの若き軍人たちとの愛の囁きを受けること。

 音楽も素敵だわ。でもハンガリーの屋敷の周りには、私の心を癒してくれる人は何処にもいないわ。千里の道も遠いとは思わない。 

 この令嬢を演じている女優。私の若き日、ときめきを知った小中学生だった頃、あのマルタ イゲルト。私は小学生の頃から洋画ばかり見てましたよ。新宿文化劇場、太陽座、帝国館、光音座。これら映画館は割合小さな映画館です。

 今だから告白すると、大抵はタダではいっていました。映画の終わる時間に合わせて、出てくる観客と同じ向きに後ずさりして入るのです。フランス映画専門の光音座はビルの6階で切符売り場と廊下が狭く、ガラス越しに下が見えないので、売り場の下を屈みこんで入りました。ごめんなさい!

 マルタ エゲルトと云う女優さんは歌唱力、ダンスが素晴らしく、当時、昭和15、6年の話ですが、この映画は今見ても、心をときめかせます。ハンガリーのボヘミアンメロデーにのって踊る彼女、最後はゲーテの詩かもしれないこの歌。ジプシーバアヨリンがすすり泣きます。
   
 「口づけを求めず 熱き想いを告げもせず

 日ごと 虚しく心を乱す 夜の闇に君の名を呼び

 手を折られし バラ 萎れるを待つばかり

 日ごと 夜ごと君の名呼び 夢を見る  

 何時の日か この胸の堰の切れ 君に告げん まことの心を

 こがるる想い 秘めしことを いつか身を包まん 幸せの輝きを

 語れ、其の口より君を愛すと 偽りなりとも かたれよ 君を愛すと

 君の目を見いれば 心はおののき 夜ごとの夢に君の姿を追う」
              
 大分、話が横道に入りました。伯爵令嬢は重い扉を押し開き中へ。シューベルトの曲は二楽章の後半に差しかかっています。

つづく

2010年10月14日木曜日

猫跨ぎ


 カリフォルニアの娘が電話をかけてきました。何時も草臥れた声で、だいたい、私達が少し早めに夕食を食べ終わる頃、お客さんに合わせ、夕刊を読んでる頃ですね。彼女のほうはもう寝る頃です。草臥れた声、「ああご苦労さん」と思います。   
 彼女はもうベットに入る前のブログの打ち合わせと、ご機嫌話が終わると、もう寝るからお休み~!私達はこれからが夜のお仕事。

 でも、今日はなにかはしゃいでいましたよ。なにかな鼻歌を呟いているのです。
「どうしたの?」私。
「さっき、車庫の前に黒猫がいたの。」娘。
 娘のところには、長毛猫が三匹もいるのです。
「シャーちゃんがノラ猫の匂いを嗅いで、怒るぞ。その黒猫をかまっていたら。」
「幼稚園の頃の《黒猫のタンゴ》を思い出したの。知ってる?」
「知ってるさ。」

 ♪だけど、あんまり、悪戯すると、鯵の干物は♪♪♪おあずけだよ♪

 それに、つい乗せられて、
「じゃあ、《猫跨ぎ》って、知ってる?」私。
「お前の兄貴は猫跨ぎなんだぞ。」私。
「何、それ?」娘。
「鯵の干物が嫌いだということ。あいつは、小さい時、漁師町で鯵の干物を毎日食べていたから、もう東京に来てからは、もう鯵の干物は食べたくなくいのさ。
 猫も同じで、漁師町の猫は、砂浜に鯵の干物が干してあっても、跨いで見向きもしないといううこと。
 タンゴ タンゴ 鯵の干物はもう御免だよ。」

 ♪ララララララ、ラーラ♪
             

2010年10月13日水曜日

ザクロ その2


 千葉にお住まいのOさんにもらったザクロ。先日、描いた絵を載せましたが、色が薄く、気に入らないので、ちょっと手を加えました。

 これでどうですかね。

2010年10月11日月曜日

伊豆 日帰り旅行 その2 河津バガテル公園


此の公園は、パリのバカデル公園を忠実に再現したフランス的なBagatelleな小路に導かれ、多くのアーチに囲まれたローズガーデンです。
 バガテルとは、フランス語で「小さく愛らしいもの」を意味します。

 東屋、レストランに入ると、入口に、こんな意味のスタンプが有りました。スタンプには黒猫が尻尾を高く上げた真横向きの猫。 

 Etre pas volert par et chemine. Merci Boucoud !

「採っては 駄目よ、路に沿って 行ってね!」

 Merci Beacoud! Mon Amies!

秋薔薇は、もう冬薔薇に近く花弁も衰え、でも枝ぶり、緑の葉はこんなに親しく見られたのは貴重な体験と、ママは喜んでいましたよ。

 お昼はモネゆかりの睡蓮の池のほとりのレストランで食事。四人それぞれ勝手なものを注文。私はカレーがとても気に入った味、サフランの黄色い、久しぶり目にする、カレーライスでしたよ。 

 改めて、Iご夫妻、ありがとう!お風呂もよかったです。

 薔薇の視る 地平は昏き 夜明かな

ノブ

伊豆 日帰り旅行 その1


常連のIさんに誘っていただき、伊豆の薔薇園へ連れて行ってもらいました。いつも6月はママの都合がつかず、「秋の薔薇はどうかしら?」と今回の日帰り旅行。

薔薇園で食べたカレーが私の好みにピッタリ! 城ヶ崎まで車で案内してもらいました。釣橋を渡り、Iさん御主人に手を引かれ、至れり尽くせりの伊豆の旅。 昔 娘たちと天城越えをしたあの頃を思いだしました。

Iさんご夫婦がとても気をつかってくれ、おまけに、お昼も夜もご馳走になりました。ご主人もとても気さくな方でありがとう。
家に着いたのは11時近くの日帰り旅行、楽しませていただきましたよ。

写真の青いバックは、ウィーンにて日本語で値切ったママお気に入りの一点。ご機嫌です。

2010年10月5日火曜日

ザクロ


 千葉にお住まいのOさんからザクロを頂きました。ザクロが割れるまで、もう少し待っていますといっているうちに、木から落ちてしまったそうですが、2つほど頂きました。

 さっそく、描きましたよ。写真はうまく撮れませんが、なかなか気に入っています。
 Oさん、どうもありがとう。

ウィーン旅行より 第7回 映画 未完成交響楽

 厚い扉の中は広いサロン風の会場。上座の奥にゆったりと座っている侯爵夫人。その前にシューベルトは恭しく腰をかがめるのです。
 其の時、ああ、何でそんな事になってしまうのでしょう。そうです、あの質札です。人の背中には目が有りません。何と、その紐が背をかがめた其の時、彼の後ろに据え置かれた高貴な朔像の手に引っ掛かってしまているのです。侯爵夫人は、挨拶の済んだシューベルトを、自ら身を起こし、では 私が皆さんにご紹介しましょう、と彼を従えるようにサロンの方に歩き始めた時、後ろに従ったシューベルトの一歩が、いいえ、あの質札の紐が 朔像を引き摺りおとして仕舞いました。  
 
 ああ、あの愛すべきエミリー。なぜ服を貸し出した時質札を外しておいてやらなかったの。其の情景に一瞬氷ついたサロン。夫人の皮肉たっぷりのその言葉
「これで今日は一段と演奏が楽しみになりました。」

 彼は人びとに紹介されることもなく、ピアノの前に立つのです。そして、これから弾く曲を自身で説明します。
「この、シンフォニィーはロ短調で私の今、作っている作品です。」
 静まりかえった場内、腰を下ろすシューベルト。さあ、何を心配しても始まりません。

 エミリーも自分の部屋で、落ちついてなんていられる筈が有りません。シューベルトの下宿先まで出かけ、
下宿のおばさんにっ頼み込みます。 
「どうか、この部屋で彼を彼を待せて下さい。」
おばさんは下宿の規則をエミリーに云います。   
「宿は女性の出入りは九時迄なのよ。でも、知らない顔じゃないし おとなしくしていてね。」
嬉しそうな彼女の顔、此の顔はもう大人の顔です。

 会場はもう、一楽章のそろそろ後半部に入りかけています。そして、ここで、ヒロインの登場です

つづく