やっと日比谷線を抜け出して丸の内線に移動します。二人の歩く先は何んとなく「犬も歩けば棒に当たる」と云う感じでしたね。
私は階段を降りると、すぐ左側から入ってきた電車に直ぐ乗ろうとしました。私が今歩いてきた道は、東から西に向って歩いてい来たのだから西に向かって走る電車なら、新宿行きとの思い込みが強いのです。 イメルダさんから声がとびます。
「それは反対方向に行くわよ!こっち側から乗るの!」
私には何故か自分が立っている点の地球の平面図が認識出来ません。何故又東へ戻るのか?後でこれも我が家の奥さんに聞かされました。
「丸の内は堀に仕切られた城郭の下を抜ける地下鉄です。唯、真っ直ぐトンネルを掘って行くことなんか出きるはずは無いでしょう。堀に沿って円形に回り道を作らなければいけないの。だから、丸の内線でしょう。」
なるほど、だから北西へ回っているのか。新宿御苑前はすぐでしたね。でも、新宿と云うイメージは有りません。歩道の灯りも暗く、店の眩ばゆい光も見当たらず、淀橋の小学校にいた頃の、太宗寺付近を思い出していました。ここの仁王様が見たくても、何時も薄暗く、覗く勇気が出ないのです。
イメルダさんはそんな私の昔の回想など知るよしもなく、どんどん御苑方向に足を伸ばしています。横道に入るとそれなりに店の灯りも人恋しく瞬きます。
私 「もうJは此の近く?」
イメルダさん 「そう、もうこの横町を出た通りの向こう側ですよ。でも7時半まで時間が余るわ。ブログに載せる写真をとりながら、何処かのお店で休みましょう。」
私 「美味いコーヒーが飲めそうなところがいいな。」
さて、捜すとなるとそんな店は有りません。食べ物屋、あとは飲み屋ばかり。でも横町の角に、外から中の見える明るい店。でも客は誰もいませんね。カウンターの棚を見れば、ここはワインバーですね。でも一応イメルダさんがききます。
「コーヒー飲めますか?」
「コーヒーは飲めますが食事はもう終わりましたが。」
「コーヒーだけでいいです。お願いします。」
なにはともあれ、コヒーは飲めました。でも、その店はなんとなく奇妙な店。客がこの時間一人もいない、カウンターの中に紅いベストを来たバーテンダーが四人、その奥にキッチンのシェフが一人、顔が見えます。もしかしたら私達は昼の部とこれから夜の部の交代時間に飛び込んだのかも知れません。バーテンはカンターの中では、なにかしら手を動かし客が居なくてもグラスなどふき、動いているものですよ。でもここの四人は前のテーブルを見つめたまま。従業人と云う雰囲気がありません。兄弟、親族の素人ぽい集まり?一寸水を一杯貰い、話しかけてみました。
「店は何時迄開けているんですか?」
「十一時までです。」
「じゃあ、これからですね。」
「もうこれで終わりです。皆、地下鉄に潜り込んでしまいます。この辺を歩く人はカップルだけです。」
そう云われれば、私達二人もそんなもんかも。昔の赤線地帯から、四谷、大木戸あたりは格好のデートコースだよな。新宿は、歌舞伎町界隈、新宿区役所通あたりしか人は集まらないみたいですね。
愛称をこめてイメルダと呼ばせて貰うね。
「イメルダ!どっち側にJはあるの?」
「パパ、この携帯ではうまく撮れないから、カメラで撮るよ。そこに立ってこっち見て。」
Jはその大通を渡れば、右側だと思うけど、ここからが本格的ジャズクラブJを捜すことになるのですが、さて?
つづく
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